suginomori brewery
長野県奈良井宿に立つ創業1793年、2012年に休眠した歴史ある「杉の森酒造」を再生させたマイクロブルワリー。Kirakuは、2021年夏に杉の森酒造をsuginomori breweryとしてリブランドし、奈良井に流れる山の水と、安曇野産の酒米で醸される日本酒「narai」を造っています。
Story
日本酒の国内需要が低下、地域に根差した小規模の酒蔵が年々減少し、その影響を受けて田んぼが耕作放棄地になっている中、日本の後世に残したい文化を世界に届けるという想いから清酒製造業への参入を実施。

naraiは安曇野産の酒米を使用
2021年3月、Kirakuは⻑野県塩尻市奈良井の重要伝統的建造物群保存地区内で休眠状態にあった日本一標高の高い蔵元酒蔵「杉の森酒造」(1793年創業、2012年休業)に出会う。多くの人々に愛されていた杉の森酒造を再生したいという想いの元、その酒蔵を運営していた杉の森酒造株式会社を完全子会社化。2021年4月より酒蔵の改修工事と設備の購入を開始し、2021年8月に改修工事を完了。同時に長野県信用組合より融資を受けて資金調達を行う。
- 杉の森酒造 当時からの看板
- 現杉の森酒造(外観)
杉の森酒造株式会社は、株式会社竹中工務店と一般社団法人塩尻市森林公社がともに出資し、設立した株式会社ソルトターミナルが事業主体となる小規模複合施設「BYAKU Narai」でテナントとして製造再開。名を新たに「suginomori brewery (スギノモリ・ブルワリー)」として再生し、新たな日本酒ブランド「narai(ナライ)」を展開。
Business
suginomori breweryは酒造りに挑戦するにあたり、価値ある持続可能なビジネスを目指し、独特なアプローチをとっている。
約 250 m²のマイクロブルワリーとして以前の半分以下のサイズで再生。通常の酒蔵では 3,000Lから8,000L等の大型タンクを使用する中、当蔵では1,800Lが4台、900Lが4台と小型タンクを採用し、限られた空間を効率的に活用する酒造りを行う。また、通常の酒蔵とは異なり、効率を重視した醸造工程毎の分業化ではなく、一人の杜氏による「全工程手作業の丁寧な酒造り」を行なっている。
- suginomori breweryのタンク
- 杜氏が洗米を行う
また、スギノモリ・ブルワリーでは冬の気温と同じ環境を再現できる冷蔵室を設け、通常の酒蔵ではできなかった年中製造可能な「四季醸造」を用いて醸造を行う。これにより、年中搾りたての日本酒を届けること、また年間を通した杜氏の仕事確保が可能となる。
国内の日本酒消費量は年々減少している一方、海外ではプレミアムな日本酒の人気が高まっており(2021年 日本酒輸出金額 昨対比+166%)、日本に訪れることの出来ない層も視野にいれてマーケティング戦略を組み立てる。清酒製造業のバックオフィスの事業効率化を計り、エンドとなる個人やレストランに直接販売できる導線及び物流を最適化。また、4合瓶で平均1,000-2,000円とされる市場の中、5,000円という価格帯を一本化して販売することにより、利益率の低いと言われていた業界の粗利益率の改善を測る。
本プロジェクトは宿泊施設の「BYAKU Narai」と隣接する。酒蔵の改修と同時並行に株式会社ソルトターミナルが宿泊施設及びレストランの改修を行い、同時期に宿としてオープン。当酒蔵は、宿・レストランから「見える酒蔵」をコンセプトに、将来的には蔵人体験ツアーなどここでしか体験できない付加価値を提供できるようにエクスペリエンスを企画。
- ホテル窓から見えるsuginomori brewery
- レストラン窓から見えるsuginomori brewery
- 日本酒「narai」
- 杜氏 入江将之