Story

飫肥地区は宮崎県日南市南部に位置し、安土桃山時代から明治初期までの約300年間、飫肥藩伊東家5万1千石の城下町として栄えた町。飫肥城を中心に並ぶ武家屋敷と風格ある武家門、飫肥石の石垣などにより形成される美しい武家屋敷街が保存されており、江戸時代の武士・商人の暮らしぶりを現代に伝える。1977年には九州初の重要伝統的建造物群保存地区に指定された。この飫肥には魅力的な観光資源がありながらも知名度が低いことに加え宿泊施設が不足していることにより、十分に観光客(とりわけ宿泊客)を呼び込めていない課題があった。町内の建物の多くが空き家として残り、長年活用されていなかった。

2017年にKirakuは、飫肥地区の「まちなみ再生コーディネーター」として、伝統的な日本家屋をフルリノベーションした上質宿泊施設「季楽 飫肥(きらく おび)」を第一打として開業した。本プロジェクトは、株式会社Nazunaと株式会社大地が飫肥を代表する古民家の1つである旧小鹿倉邸を、地元商店会と連携しながら観光の拠点となる宿として再生する取組。Kirakuは、飫肥のさらなる活性化を目的とし、本プロジェクトの組成、企画及び事業計画の策定を支援する。

「⼩⿅倉邸」は、築140年以上の⺟屋と離れの納屋を改修した全5室の旅館。全室に市内の北郷温泉から輸送された温泉をお愉しみいただける露天⾵呂を備え、客室は全て飫肥の特徴をテーマとしたコンセプトルームとした。飫肥のシンボルカラーである紫を基調とした「HONMURASAKI」、古くから飫肥の産業を⽀えてきた飫肥杉をテーマとした「SUGI」、飫肥の街並みのあちこちで⾒かけられるお茶の⽊の⽣垣から着想を得た「CHABOKU」、⽇南市の特産品である柑橘種をモチーフとした「DAIDAI」、飫肥の美しい⾵景に⽋かせない「KOKE」の、異なる5タイプの客室で、滞在を通じて飫肥の⾵⼟を感じる宿泊体験を提供。江⼾時代から今⽇まで守られてきた趣ある佇まいを保存・継承するため、建物外観の補修は最低限に留めた。

宿泊受付を⾏うレセプションスペースは地域交流機能も兼ねて、飫肥ならではの郷土料理や、商店街で販売されるここならではの商品に触れることが出来る場所でもある。また、同エリア内の商店の特徴を1店舗ずつまとめた「ガイドカード」を⼿に取れるなど、地域の繋がりを感じることもできる。飫肥城下町の新たな観光拠点として、多くの⼈々が行き交う場として活⽤される予定である。

また、「⼩⿅倉邸」の開業に伴い、⼀棟貸し宿「季楽 飫肥」の宿泊客のチェックインは全て⼩⿅倉邸のレセプションスペースで⾏うことになり、今後も同エリアで⼀棟貸し等の宿泊事業を⾏いたいと考えている事業者の受付代⾏等の受け⼊れや、宿泊事業を軸にしたスパ施設等の開発、地域ならではの体験開発等にも取り組んでいく予定。本事業で形成するプラットフォームを拡張していくことで、更なる⾯的な展開を目指す。

レセプションスペース

Information

開業
2020年7月
客室数
5
運営
株式会社Nazuna