Story

飫肥地区は宮崎県日南市南部に位置し、安土桃山時代から明治初期までの約300年間、飫肥藩伊東家5万1千石の城下町として栄えた町。飫肥城を中心に並ぶ武家屋敷と風格ある武家門、飫肥石の石垣などにより形成される美しい武家屋敷街が保存されており、江戸時代の武士・商人の暮らしぶりを現代に伝える。1977年には九州初の重要伝統的建造物群保存地区に指定された。この飫肥には魅力的な観光資源がありながらも知名度が低いことに加え宿泊施設が不足していることにより、十分に観光客(とりわけ宿泊客)を呼び込めていない課題があった。町内の建物の多くが空き家として残り、長年活用されていなかった。

Kirakuは、2015年に宮崎県日南市より飫肥地区の「まちなみ再生コーディネーター」として任命され、日南市そして地元住民と協働の元で、当該地区の歴史的建造物の再生、観光プロデュース、および地域資源のマーケティング等の地域活性化事業に取り掛かった。2017年に伝統的な日本家屋をフルリノベーションした上質宿泊施設「季楽 飫肥(きらく おび)」を開業。

「季楽 飫肥」は、「勝目邸(かつめてい)」と「合屋邸(おうやてい)」の2棟からなる、それぞれ1日1グループ限定の貸し切り宿。「勝目邸」は、18世紀に造園されたといわれ、宮崎県指定名勝にもなっている枯山水式の庭園を有する武家屋敷様式の宿。また、「合屋邸」は、江戸時代に中級家臣武士のための長屋門として利用されていた屋敷をリノベーションしたもの。当時の風合いを表す梁、天井や装飾はできる限り残し、長い歴史を持つ城下町飫肥ならではの文化・風土が感じられる施設になっている。さらに、両棟には檜風呂よりも高級と言われる「高野槇風呂」や自由に利用できるキッチンや調理道具が備えられており、まるでそこで暮らしているかのような旅体験ができる。

 

2017年の開業以降、飫肥地区では事務所・店舗や宿泊施設、空き家を活用するプロジェクトの数が増えた。また、2020年にKirakuは大型武家屋敷を改装した上質温泉旅館 「Nazuna 飫肥 城下町温泉」 の企画に携わり、関連会社である株式会社Nazunaの飫肥での拠点をつくることに成功した。

Kirakuは、引き続き飫肥の観光資源としての価値向上に向け、地域の方々や日南市とも連携しながら街全体の活性化を支援している。

Information

開業
2017年4月
客室数
一棟貸型 2棟
運営
株式会社Nazuna